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写真はほていや商店のこけし売り場

伝統こけしについて

こけし本来の様式で作られる伝統こけしの系統の1つに「肘折系」がある。日本にある伝統こけしは、「産地」「形式」「伝統継承の経緯」をもとに、主として以下の10系統に分類される。(分け方によっては作並系を山形系と分類して11系統とする場合がある が、個人的に山形系と作並系は似ている部分が多いので同じと考えています。)

・土湯系(土湯温泉、飯坂温泉、岳温泉)
・弥治郎系(白石市弥治郎)
・遠刈田系(遠刈田温泉)
・鳴子系(鳴子温泉)
・作並系(仙台市、作並温泉、山形市、米沢市、寒河江市、天童市)
・蔵王高湯系(蔵王温泉)
・肘折系(肘折温泉)
・木地山系(木地山)
・南部系(盛岡、花巻温泉)
・津軽系(温湯温泉、大鰐温泉)

その中で、堂々と肘折温泉発祥の伝統こけしが存在しているということはとても誇らしいことである。そして、肘折系はさらに3つに分類される

・奥山運七系(鈴木征一工人)
・佐藤周助系(吉野誠二工人)
・佐藤文六系

奥山運七が作業していた工房「奥山こけし工房」は現在、看板のみが残されていてこけしの製作は行われていない。運七系を受け継ぐ肘折温泉在住唯一の工人が鈴木こけし店の鈴木征一氏である。

肘折伝統こけしの歴史

詳しく書くと長くなるので、ざっくり説明すると、、、

・ 肘折こけしの開祖は初代柿崎伝蔵(八鍬酉蔵)で、そこから肘折こけしが生まれた。
・その後、遠刈田で修業をした弟子が肘折へ戻り、遠刈田こけしの要素を取り入れた新しい肘折こけしが生まれた。
・遠刈田から肘折へ移り住んだ佐藤周助という工人のこけしも含めるようになった。

上記の歴史の中でうまれた技法や要素が、現在の肘折こけしに受け継がれている。

肘折伝統こけしの特徴

・胴体の形状は鳴子系のように肩に段がある形が多い。(丸肩もある)
・頭の内側をくりぬき、小豆を入れることで振ると音が出るようになっている。(小豆が入っていないものもある)
・服の地色は黄色が多く、描かれる花は重ね菊か撫子が多い。
・頭には髪の毛と手絡が描かれる。(赤色が多い)

ほていや若旦那製作のこけしになれるTシャツも、グレー、ブラックとで描く花が2種類あるのも趣深い。こけしはよく見ると、工人によって描かれる顔が違いその表情も実に豊かであることに気づかされる。温泉地とこけしの産地は切っても切れない間柄なので、温泉ファンは、ぜひこけしにも目を向けてその伝統文化に浸ってみてほしい。

参考URL https://kuraya-kaitori.com/

by T-K